安易にIT業界に身を投じるな

f:id:yurayura_blog:20201109233716j:plain

リンドウ@八島ヶ原湿原

 

ここ半年、就活と呼ばれるライフイベントに巻き込まれている。日々の研究も結構忙しい上に、今後の人生を見据えたイベントに対応しなければならず非常に困っている。しかしながら、最近は少し視界が開けてきており、良い区切りだと思ってブログを始めることにした。

このブログの目的は主に2つ。1つは、アーカイブ化のため。就活中から就職後まで一貫して同じブログに思考やライフログを取ることによって変化を眺めたい。2つ目は思考の伝達。そんなにたいそうなことは考えていないし、素晴らしい友人たちを眺めていると自分の人生の積み重ねの薄さに辟易することが多く、自身の思考を伝達することに価値は見出せないかもしれない。しかし、社会人になってから実現しようと考えている複数の事柄は、なかなかエキサイティングであり、かつ必ず実現させるつもりで生きているので、その過程や思考の一片を記録し、伝達する媒体としてこのブログを設けようと思う。

ここまでブログ開設の意図を述べたが、最後に対象とする読者を記載してブログの方向性を示したい。このブログの対象とする読者は「俺と人生が重なる人」ただそれだけである。やっていることや考えていることなどが1つだけでも一致している人であれば、それはこのブログの読者として組み込まれている。自分の言語化された思考や感性が、読者の何らかの参照点になれば幸いである。

さて、ここまでブログの開設にあたって概要を述べてきたが、そろそろ本題に移りたいと思う。

-

「安易にIT業界に身を投じるな」

表題はなかなか刺激的な発言だと思う。全体に対するメッセージのように感じるであろうが、これは自分に向けたメッセージであり、他者がこのメッセージをそのまま受け取る必要性はない。メッセージの詳細は以下で述べたいと思う。

 

このメッセージは自分の直感に由来する。今の時代の就職活動は時代性を反映してか、やはりIT業界の仕事が多いように感じる。それはとても納得感のある流れである。というのも、ITは既存のビジネスモデル、つまり「モノを用意して加工して提供するモデル」から離れた、非常に価値生産性の高いビジネスモデルである。既存のビジネスモデルは、川上のモノの制約により、提供可能な加工したモノ・サービスの量に限りがあった。そのため人々は

➀より廉価なモノから高価なモノを提供

②モノの加工の効率を高める

③新規性の高いモノ→モノのビジネスを開拓

といったアプローチで収益を上げてきた。

IT業界がビジネスモデルとして革新的であるのは、主に2点、川上のモノの制約を受けない、新規性の高いビジネスモデルの確立が容易である、ことに起因していると考えられる。IT業界は技術の進歩により、人間や機械が行っていたタスクをITに代替するというビジネスから、全く新しいビジネスを確立することに成功しつつある。それは人間や機械の代替でなく「ITでしかできない」ソリューションである。

こうした背景から現在、就職活動市場はITの独擅場といっても過言ではない。私は就職活動において、やりたいことの関係からシンクタンクを見ていたが、某シンクタンクN社の新卒採用の予定人数は、リサーチ数名、コンサルタント10名ときて、システム (つまりIT) が100名である。シンクタンクがITに特化するのは会社構造も関係しているが、時代の流れとしてIT人材の育成と調達が求められていることが垣間見える。

しかし、拡大に向かっていくIT業界で自分が「面白い仕事につけるか」を考えたときに、私は直感的にここは自分のフィールドではないと感じた。直感を言語的な解釈に落とし込むのはなかなか厳しい試みだが、可能な限り対応してみようと思う。

 

まず第一に「面白い仕事」とは何か?という疑問が想定される。最近のマイブーム、安宅和人さんのブログから引用して話を進める。

就職活動するにあたって大きく決めなければならない方針がたった1つだけある。これを自身の興味・関心に応じて選択することが、以降の就職活動、並びにライフプランを左右すると断言できる。

それは「回す人と創る人、このどっちの人生を歩むつもりなのかを考える」というものだ。

f:id:yurayura_blog:20201110001616p:plain

(出典: 安宅和人「ニューロサイエンスとマーケティングの間 - スキル以前にサバイバル」https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2020/09/07/200050 )

これについて安宅さんは以下のように述べている。

左だったら分野ごとに求められるスペックがかなり明確に決まっているので、即していなければ基礎スペックを身につけるしかない。例えば光、カメラの原理、ライティングについて体系的に学んでいない人がプロのスタジオ写真家になることは不可能。右の人はそもそも何かで突き抜けないことには話にならない。至極シンプルな話。

与えられた仕事をキチンとこなすために最適化された「回す人 (図中左) 」は、社会が成立するために必要不可欠である。対して、夢を描き、複数の領域をつないで形にする「創る人 (図中右) 」は未来を変える可能性を秘めている。

詳細は以下のブログで。

kaz-ataka.hatenablog.com

この創るはビジネス、さらに大きなスケールでいえば産業を創る人のことを指していると考えられる。それらを踏まえ、自分はこの2択を考えたうえで「創る人」が面白い、というよりも人生をかけて挑みたい道だと考えた。

自分の場合、現状突き抜けているものはないように感じる。しかし、武器にしようと考え、幾分か意識的に知識の収集を行っているのは2点、「再生医療」と「xxx」である。後者は就職先の業界であり、現時点で内定は貰ってないためひとまず言及は避ける。

しかし、将来的には「xxx」の知識と「再生医療」の知識を連動させ、未だ不十分な再生医療産業を「創る」人材に回りたいと考えている。これはなかなか骨が折れる道のりであると思っているが、現在の熱量をもってすれば実現可能性が「無くは無い」道のりであるし、その挑戦の過程で得た知識は有益であると考えているため、この道でひとまず戦ってみようと思う。

このような夢を抱いている一方で、IT業界を眺めたとき自分の武器になり得るものが見つからなかった。当然、業界内に身をうずめることにより見えてくる景色があるが、人材が飽和に向かうであろう産業の中で、現在のITに対する関心を考慮すると「戦えない」という判断が浮かび上がる。

インターンシップに参加した数社のIT部門を見るに、現状「回す人」としての仕事が大半であると推察される。こうした現状を踏まえると、「早めに内定が出そう」「仕事がありそう」「スキルワークだから転職に有利」といった状況判断でIT業界に身を投じるのは、自信の価値観と照らし合わせるに不適切であると判断できる。

結果として、「安易にIT業界に身を投じるな」というメッセージが自己に向かって生じ得るのであり、これは一部「人生が重なる」読者の方へのメッセージでもある。

-

最後にブログを意識するきっかけとなった人を紹介して終わりにする。

言語化が巧みな方で、ブログの内容も面白いため、シンクタンク・コンサル業界を検討している方には是非ご一読願いたい。

tomotsaan.hatenadiary.com